「癒し」という言葉とともに、1990年代後半から日本でも広く認識されるようになったアロマテラピー。
言葉は知っていても、実際の効果や使い方がわからないという方も多いのではないでしょうか?
アロマテラピーは植物の力を活用し、私たちの心や体を健康に若々しく保つ効果があると言われています。
今回は、アロマテラピーとエイジングケアについて紹介します。
アロマテラピーとは
アロマテラピーという言葉は有名ですが、その内容を言葉で説明できる方は少ないかもしれません。
まずは、アロマテラピーについて見ていきましょう。
アロマテラピーは直訳すると植物療法
アロマテラピーを日本語に直訳すると「アロマ=芳香」「テラピー=療法」で植物療法となります。
20世紀初頭に、フランス人科学者のルネ・モーリス・ガットフォセが実験中に火傷をおい、とっさに目の前にあったラベンダー精油をかけたところ、傷の治りが早かったことからアロマテラピーの研究が進められました。
その後の研究により、アロマテラピーには心身に対して有効に働く効果があることがわかりました。
日本では「精油」は雑貨扱いですが、近年では医療や美容の分野でも注目されています。
精油は植物の香り成分
アロマテラピーに欠かせないのが、「精油」(エッセンシャルオイル)と呼ばれる液体です。
精油は、植物の花や葉、茎、根、果皮などから抽出された天然の香り成分で、採取する植物によって香りも効果も異なります。
例えばペパーミント精油は、目が覚めるようなフレッシュな香りがし、刺激作用やリフレッシュ効果、去痰効果(痰を排出しやすくする効果)などがあります。
ラベンダーは心が落ち着く香りで、鎮静作用やリラックス効果、新陳代謝促進効果などがあります。
アロマがエイジングケアに役立つ理由
アロマテラピーは、人々の健康や美容の維持・促進に役立つと言われています。
これは植物が持つ薬理効果や香りの作用があるためです。
自然派化粧品にも、ラベンダーエキスやローズエキス、ネロリエキスなどが美容成分として多く配合されています。
ではここで、アロマテラピーがエイジングケアに役立つ理由を見ていきましょう。
自立神経を整える効果
人は好みの香りを嗅ぐと、心が穏やかになります。
自律神経は、活動的なときに優位になる「交感神経」と、リラックス状態に優位になる「副交感神経」がバランスをとりあって機能しています。
ところが近年は、ストレスや過労などにより、副交感神経が優位にならず、自律神経のバランスが乱れている方が増えています。
香りは脳の中でも「大脳辺縁系」という、生命維持をつかさどる本能的な脳に到達します。
その後、自律神経をつかさどる視床下部に香りの信号が伝わり、自律神経に働きかけてバランスを整えます。
ストレスケアができる
純粋に心地よいと感じる香りを嗅ぐことで、リフレッシュすることができます。アロマを活用していない方でも、疲れたらチョコレートの甘い香りが心地よく感じたり、リフレッシュしたいときにペパーミントのようなすっきりとした香りを嗅ぎたいと思うことがあるでしょう。
香りの力は想像以上に大きく、沈んだ心を晴れやかにしたり、暗い気持ちを明るくしたり、疲れた心をリフレッシュすることができます。
また、精油は分子が非常に小さいので、鼻の粘膜から香り成分が吸収され、血流にのって体の中で有効に作用すると言われています。
ストレスが原因で睡眠の質が低下したり、やけ食いしたり、血流が悪くなって冷えを招いたりすることがありますが、これらは全て肌を老化させる原因になります。
アロマでストレスケアをすることは、肌の調子を整えるエイジングケアにつながります。
ホルモンバランスを整える
女性ホルモンのエストロゲンは、別名「美肌ホルモン」とも呼ばれています。
肌の水分量を保ったり、なめらかにしたり、やわらかくしたりする効果があります。そのため、何らかの理由でホルモンバランスが乱れると、肌の乾燥やシミ、シワ、たるみなどの老化肌の原因になります。
ホルモンの分泌は自律神経がつかさどっています。
そのため、自律神経を整える効果があるアロマテラピーには、ホルモンバランスを整えて若々しい美肌に導く効果も期待できます。
睡眠の質が上がる
人は就寝中に、日中に心身に受けたダメージを修復しています。
質の良い睡眠では、修復に必要な成長ホルモンが充分に分泌されます。
反対に、途中で目覚めたり、なかなか寝付けなかったりするなど、睡眠の質が低下すると、成長ホルモンは充分に分泌されず、肌も修復されません。
アロマテラピーには、睡眠の質を低下させる自律神経の乱れや、ストレスをケアする効果があります。
また、就寝時に心地よい香りを用いることで、呼吸が深くなり自然な入眠に導かれます。
このように、アロマには睡眠の質を高めることによるエイジングケアが期待できます。
エイジングケアに役立つ精油とは?
精油には様々な種類があり、採取する植物によって香りも効果も異なると言いました。
エイジングケアに効果があると言われている精油は、ラベンダー、ローズ、ゼラニウム、ネロリ、サンダルウッド、フランキンセンスなどたくさんあります。
また精油によって、鎮静効果や興奮効果、殺菌・抗菌作用、抗炎症作用、毛穴を引き締める効果、新陳代謝を活発にする効果など様々な薬理効果があります。
こういった薬理効果を重視して選ぶこともできますが、もっとも大切なことは「好みの香り」を選ぶことです。
とくに自律神経を整えたり、ストレスケアをするためには、苦手な香りではあまり効果が期待できません。
それどころか、逆効果になる可能性もあります。店頭のテスターなどで香りを確かめて、好きな香りを選びましょう。
因みに精油(エッセンシャルオイル)は、合成成分を混ぜてない100%天然のものを指します。
100均などの「アロマオイル」は、精油としては使用できないので注意しましょう。
アロマテラピーでエイジングケアをする方法
実際に好みの香りでエイジングケアをするためには、どのような方法があるのでしょうか?
100%天然の精油を使用した手づくりコスメやマッサージオイルなどもありますが、今回は初心者でも安心して使用できる方法を紹介します。
部屋で香りを楽しむ芳香浴
精油の香りを拡散させて、香りの効果を取り入れる方法を「芳香浴(ほうこうよく)」と言います。
いくつかの方法があるので、やりやすい方法を試してみてください。
アロマポットで香りを拡散する
アロマポットと呼ばれる器具を使って、精油の香りを拡散させる方法があります。
天板部分にある小皿に水を張って精油を1~3滴落とし、下からキャンドルや電球の熱で温めて香りを拡散します。
霧状になって噴出される、アロマディフューザーなどもあります。
ティッシュを活用する
アロマポットがない場合は、ティッシュやコットンに精油を1滴落とし、小皿の上に置いて香りを楽しむことができます。
お湯の蒸気を利用する
要らなくなったマグカップにお湯を張り、そこに精油を1滴落として蒸気で香りを拡散させることができます。
間違って飲まないよう注意をしてください。
睡眠中の質を上げる
就寝時にアロマテラピーを用いることで、睡眠の質を上げることができます。
直接肌に触れないよう、枕の隅に1滴精油を落としましょう。
枕カバーのシミが気になる場合は、ティッシュやコットンに精油を落とし、枕元に置いて眠ると良いでしょう。
香りを携帯する
ハンカチに精油を1滴落として持ち歩くことで、いつでも香りを楽しむことができます。
柑橘系の精油は黄色~オレンジ色の色が付いているので、シミが気になる場合は気を付けてください。
好きな香りを携帯することで、外出先での緊張を緩和したり、ストレスケアを行う効果が期待できます。
アロマテラピーをエイジングケアに役立てよう
肌年齢を増加させる原因は複数ありますが、自律神経の乱れもストレスも不眠も、全てが関わり合っています。
アロマテラピーには、これらの不調すべてに効果を発揮する力があると言われています。
アロマを活用して、肌のエイジングケアはもちろん、心身のエイジングケアも行いましょう。
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